最終更新日: 2020-08-03

浅草橋駅から歩くこと5分、隅田川のすぐ近くにある老舗佃煮屋さんの小松屋。
柳橋から見える風景は、今でも船が行き来し情緒溢れる下町の風景が広がります。

今回は、創業してから137年の小松屋 店主の秋元治さんに老舗がネットショップをはじめたきっかけや、やってみて感じたメリットをお聞きしました。

ネットショップをはじめたきっかけ

ネットショップをはじめたきっかけを教えてください

今から20年前くらい前に宣伝用としてサイトを作りました。当時遠方のお客様は、サイトに記載されている番号に電話かFAXで注文をしていただく形をとっていました。
しかし、電話注文だと営業時間内しか対応ができなかったため、遠方に住んでいるお客様が簡単にいつでも注文できるようになったら良いなと思い、ネットショップをはじめてみることにしました。

最初の3年間くらいはほとんど注文が入らず、小松屋3代目の父からも非難されたこともありました。
しかし、ある時テレビ番組でうちの商品が紹介され、一晩で800件もの注文がネットショップに入るということがありました。
その夜はネットショップにアクセスが集中したため、サーバーが落ちてしまった時間帯もあったみたいで・・・。
800件なんて件数は電話だけでは対応ができませんし、もしもネットショップをやっていなかったら電話がなかなか繋がらず、購入を諦めてしまった人もいたのではないかと思います。
結局そのテレビ放映で注文は1,500件もいただいて・・・あの時は本当にネットショップをやっていて良かったなあと思いました。

ネットショップをはじめるまで

ネットショップはどうやって立ち上げたのですか?

制作会社の人に手書きで図面を渡して、ここにこの情報を入れて欲しいという指示をしました。
出来上がったものをまたチェックして、やっぱりここの色を変えたいから修正して…と何度もやりとりをして完成しました。

ネットショップに掲載されている写真はどうされていますか?

ネットショップの写真は全て私が撮影しています!
過去にプロの方に撮っていただいたこともあり、そちらを掲載していた時期もありました。
たしかにプロの写真は上手いし、商品写真としての仕上がりはとても綺麗ですが佃煮の魅力が十分に伝わらないような気がして・・・。
私はカメラの経験はありませんが、佃煮の魅力を知り尽くしているのでもっと良い見せ方が出来るのではないかと思いました。モノは試しだ!ということで商品写真を撮ってみることにしました。
炊き立てのご飯と一緒に映したり、背景の色を変えたりと色々と工夫をしながら撮影しています。

どの写真もとても美味しそうで、商品への愛情が伝わってきます。

実際にネットショップをやってみて

実際にネットショップをやってみていかがでしたか?

今まで電話やFAXで対応していた部分が効率化されて、便利になったと感じます。

今はどこかへ行くにしても、何かを買うにしても事前に検索をしますよね。
お店に来てくださった方に、どこからうちを知ったのか聞くと「ネットで見て来た」と答える人が最近は増えています。
やっぱり私としては、一番はお店に来て欲しいので、まずネットで「行ってみたい」と思っていただくことは重要です。
小松屋のネットショップには、商品情報だけでなく、お店の雰囲気や歴史、商品の佃煮がどのように作られたかなど色々なコンテンツを掲載しています。
オンラインで商品を買う場という役割だけではなく、ネットショップが来店するきっかけの一つになってくれたらいいなと思います。

時代が変われば人々の価値観も変わりますが、小松屋は4代続けて変わらない価値を守ってきました。
「一番美味しいものを、一番美味しい状態でお客さんに届けたい」という初心は忘れずに、新しいことも面白そうだったら 「まずはやってみよう!」という気持ちでいます。
その姿勢ではじめた一つがネットショップで、最近はお店を手伝ってくれている次女がInstagramやFacebookを更新してくれています。
新しいことは10やってみて、1でも得られるものがあれば良いんじゃないかな。
正解がないことが商売の難しさであり面白さですよね。

うちの佃煮は毎朝築地から直送された食材を調理して作っています。
隅田川の川沿いにあるお店はロケーションが良く、柳橋から感じる風はとても気持ちが良いです。
ぜひ自慢の佃煮を味わいに柳橋まで遊びに来てください。遠くにお住まいの方は、ネットショップもありますよ!

まとめ

近年、老舗や地方にあるお店のネットショップが増えてきて、始めるきっかけは何だろうと考えていました。
素人の考えで、「販路の拡大や全体の売上を伸ばすことかな」と思っていましたが、実際は “一人でも多くのお客様に商品届けたい” というお客様第一の考えを具体化した結果ネットショップという手段に辿り着いたというものでした。

小さな頃からお店を手伝ってきたという秋元さん。
「このお店を終わらせちゃうのは、もったいないと思ったんだよね。」と話してくださりました。
取材中も地元のお客様が次々にお店に来ては秋元さんに挨拶をして帰っていき、いかに地元の人から愛されているかが伝わってきました。

取材を終えて、夜ご飯用にと小えびと生あみの佃煮を購入させていただきました。
白いご飯を用意するだけなのにいつもより特別な食事になり、こんなに簡単なのに美味しいなんて!と感動しました。
佃煮を食べながら、柳橋から見た空が大きかったことや、川沿いを歩きながら感じた風が気持ちよかったことなどを思い出しました。
これは、お店に行かなかったら感じなかったことなので、お店に行って良かったなあと思いました。

小松屋さん、取材に快くご協力くださりありがとうございました。

小松屋のネットショップはコチラから⇒http://www.tsukudani.net/