最終更新日: 2023-03-10

2月に総務省統計局のサイトにて、「家計消費状況調査」のデータが更新されました。
このデータは、1世帯当たりの1か月間の支出を調査したもので、商品カテゴリ毎にインターネット上でどれくらいの支出金額があったかがわかるものです。
そこで今回は家計消費状況調査のデータをもとにグラフ化し、日本のインターネット上での購買について調査しました。
近年の動向をチェックし、ネットショップ運営の参考にしていきましょう。
使用するデータの期間は2019年1月~2022年12月です。

インターネットを利用した支出総額

2019年1月~2022年12月の直近3年間は、インターネットを利用した支出総額が基本的に右肩上がりで増えている状況です。
その中でも、下記グラフ上に黄色の線で示した毎年12月は突出して支出総額が高くなっています。
「年末商戦」という言葉もある通り、インターネット上でも12月は買い物が多くなるという季節性があるようです。
では、どのような商品が右肩上がりで増えているのか、もしくは季節性があるのか、カテゴリ毎に分けて見ていきましょう。

「食料品・飲料」「アパレル」

カテゴリ毎に見ていくと、「食料品・飲料」「アパレル」が直近3年ほどは右肩上がりで増加しており、12月に支出金額が高くなっています。
特に「食料品・飲料」は増加が顕著に表れており、2019年と2022年を比較すると、支出金額は2倍以上に増加しています。
オレンジ色の線で示している2020年4月に最初の緊急事態宣言が発出されたことにより、「食料品・飲料」の支出金額の水準が一気に高くなっています。
実店舗に足を運びにくくなった環境下で、生活必需品である「食料品・飲料」は実店舗に代わってインターネットで購買されるようになってきたことが見て取れます。

一方「アパレル」は、季節性が強く表れており、基本的には12月に支出金額が高くなっております。
「クリスマスプレゼントや年末年始セールなどの季節イベント」や「コート等の冬服の方が夏服よりも高い傾向にある」など、要因は複数ありそうだと考えられます。
また、緑色の線で示している2020年6月も支出金額が高くなっており、2019年・2021年・2022年では見られない特異な現象です。
これは、コロナ禍で実店舗の商品が売れないため、インターネット上でセールをして売り出していた可能性も考えられます。

「医薬品・健康食品・化粧品」

「医薬品・健康食品・化粧品」は、最初の緊急事態宣言が発出された2020年4月に支出金額の水準が上昇し、その後はほぼ横ばいが続いている状況です。
「医薬品・健康食品・化粧品」は定期的に同じ商品を購入することが多いと思いますので、一度インターネットで購入した後は引き続きインターネットで購入し続け、2020年4月以降は一定の水準で推移しているのではないかと考えられます。

その中でも医薬品のみに着目してみると、2020年4月の支出金額が特に高くなっていました。
これは最初の緊急事態宣言が発出され、ドラッグストア等でマスクや消毒液がなかなか購入できない状況であったため、インターネットで購買されたと考えられます。
また、マスク等がインターネットで高額転売されているというニュースもありましたので、これも支出金額が高くなった要因になっているかもしれません。

「家具・家電」

「家具・家電」は2020年をピークに支出金額が徐々に下がってきています。
食品とは違って右肩上がりにならないのは、「実店舗に行って現物を見てから買いたい」というニーズがあるのかもしれないと推測できます。
季節性を見てみると、黄色の線で示している3月・12月に支出金額が高くなっており、これは商品特性・商品単価の高さから、新生活準備と冬のボーナスが関係しているのではないかと考えられます。
また、2020年6月も支出金額が高くなっており、前述のアパレルと同様に2019年・2021年・2022年では見られない特異な現象です。アパレルと同じくインターネット上でセールをしていた可能性も考えられます。

「旅行関係」

「旅行関係」は最初の緊急事態宣言が発出されたことにより、2020年4月に大きく支出金額が減少。
そこから回復し、現在はコロナ禍前ぐらいの水準まで戻ってきています。

まとめ

1世帯当たりのインターネットを利用した支出総額は増加傾向で、カテゴリ毎に詳細を見てみると、「食料品・飲料」「アパレル」「医薬品・健康食品・化粧品」などは増加傾向であり、実店舗で現物を見てから購入したいというニーズがありそうな「家具・家電」は、徐々に減少してきている状況です。
現在ネットショップで「家具・家電」を売っている方、これから「家具・家電」を売っていきたいと考えている方は、「サイズを明記する・質感を表記する・高画質な商品写真を何枚も用意する」等の工夫をして、購入者が現物も見ないでも購入に至っていただけるようにしていきましょう!

参照
総務省統計局「家計消費状況調査」
https://www.stat.go.jp/data/joukyou/index.html
└インターネットを利用した支出の状況、平成29年以降の月次結果(二人以上の世帯)
https://www.stat.go.jp/data/joukyou/12.html